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白内障
目の中のレンズである水晶体が混濁し、視力が低下する状態です。
数か月で急に見えにくくなる方、10年~20年かけてゆっくりと進行する方と多様なタイプがあります。
ご高齢の方に発症するイメージがありますが、すべての年代に発症する可能性があります。
症状

- ・見え方が全体的にかすむ
- ・ピントが合いにくくなり、目が疲れる
- ・暗い場所で見えにくくなる(トンネルの中など)
- ・物が二重に見える
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①日常生活への影響が大きくない場合
視力があまり低下していない白内障は点眼により経過を見ていきます。白内障点眼にはすでにある濁りを取り除く効果は無く、進行を緩やかにするものです。
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②日常生活で不便を感じる場合
症状が強くなり生活の中でも見えにくい場面が多くなった時には、白内障手術を行い眼内レンズを挿入します。この眼内レンズには単焦点レンズ、多焦点レンズ、乱視矯正レンズと様々な種類があり、患者様の希望や眼の条件に最も適したレンズを選択します。
網膜剥離
網膜に裂け目(裂孔)ができて網膜下に水分がたまり、徐々に網膜が剥がれていく疾患です。
20歳前後と40~60歳前後で発症しやすく、特に強度近視の方に多く見られます。
以前は発症頻度が10000人に1人とされていましたが、実際にはもっと多く5000~7000人に1人ではないかとも言われます。広島県内で年間400~600人が発症する計算です。
症状
初期には飛蚊症の増加がみられ、次第にカーテンが掛かったような視野障害が広がります。
硝子体に出血を来すと急激にかすみが増えて、1日で見えなくなることもあります。
診断
広範囲の網膜剥離は眼底検査ですぐに分かりますが、特殊な広角眼底カメラでは周辺部分の小さな網膜剥離まで即座に検出できます。特に症状の分かりにくい初期網膜剥離に有効です。
治療
①硝子体手術(硝子体茎顕微鏡下離断術)
網膜剥離の発生には硝子体が関与しており、これを切除することで剥離の拡大を止め、網膜を正常な部位に戻します。手術期間は1時間~1時間30分で、手術後3~5日間は睡眠時にうつ伏せで休んでいただきます。
以前は2週間ほど入院して昼も夜も一日中うつ伏せ生活をする必要がありましたが、最新の硝子体手術は機械の進歩により手術効率が大きく改善されたため、負担もずいぶん軽くなりました。日帰り手術が可能となり、早期に社会復帰が可能です。
網膜剥離の程度によりますが、早い方では術後3日目から軽作業やデスクワークが可能になります。
当院ではうつ伏せや入浴制限などの期間がなるべく短くなるよう、様々な工夫を行っています。
②強膜バックリング手術(網膜復位術)
強膜と呼ばれる眼球の外壁に特殊なシリコンスポンジを巻き付けることで網膜剥離を治療します。対象は20歳前後の網膜剥離に限られており、疼痛が強いため日帰り手術には不向きです。
③レーザー治療(網膜光凝固術)
レーザーで治療可能な網膜剥離は正確には網膜裂孔にとどまる場合であり、すでに網膜剥離になっている場合は基本的には選択できません。
小さな網膜剥離ではレーザー治療が行われることもあるようですが、レーザー治療には網膜剥離を治す効果はないため、治療後も網膜剥離が拡大する恐れが消えません。小さな網膜剥離であっても根治的な治療は手術を選択すべきです。
緑内障
目の中にかかる圧力(眼圧)により視神経が圧迫され、視神経を構成する神経線維が障害を受けて視野が部分的に見えにくくなる疾患です。40歳以上では20人に一人、実に350万人が緑内障を有していますが、実際に治療を受けているのは少数の方です。
初期の緑内障は視野の見えにくい部分が小さいため自覚症状で気がつくことは無く、検査を行って初めて診断されます。進行して見えにくい状態で治療を開始しても既に見えにくい部分は残ってしまいますので、早期発見が非常に重要です。
主な原因
緑内障は眼圧と視神経の強度のバランスで発症します。眼圧が高くても視神経の強度が強い方は緑内障を発症せず(高眼圧症)、眼圧が正常範囲に収まっていても強度が弱い方は緑内障になる(正常眼圧緑内障)ことがあります。
日常生活の過ごし方、パソコンやテレビ、食事内容、運動の有無が緑内障に関わることはありません。

症状

- ・部分的に見えにくいところがある
- ・運転時などで横から来る人や自転車が見えにくい
- ・物によくぶつかる
診断
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①視野検査
2種類の視野測定器で実際に見えている範囲を測定します。最も基本的な検査です。
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②OCT(光干渉断層計)
網膜の厚みを光の波長で測定します。緑内障では神経線維が少なくなり、網膜が部分的に薄くなります。短時間かつ簡便に行えますが、詳細な情報が得られるため、緑内障検査の主流になっています。
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③眼底検査
実際の視神経所見を写真撮影し、緑内障の判定を行います。
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④眼圧検査
空気圧で測定する眼圧、細隙灯顕微鏡の先端で測定する眼圧、アイケアと呼ばれる手持ち測定器で計測する眼圧があり、状態により使い分けます。
治療
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①基本は点眼治療
眼圧をある程度まで下げると緑内障の進行が抑制されます。「ある程度」とは個々人により目標値が変わりますが、多くの方は点眼によりコントロールが可能です。重要なのは点眼回数と点眼の間隔を守ることです。
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②手術治療
点眼では十分に眼圧が下がらず視野障害が進行する場合は、手術により眼圧を下降させます。手術には幾つかの種類があり、目の状態や体の状態により適応を決めます。
手術により点眼治療以上に眼圧を下げることが出来ますが、既にある視力低下や視野障害を改善させることは出来ません。これから先の進行抑制が原則です。
加齢黄斑変性
網膜の中で光を受け止める中心部分を黄斑と呼び、ここに本来は存在しない血管(新生血管)が形成されて視力低下を来たす疾患です。
主な原因
年齢的な網膜の老化により網膜内で代謝産物(老廃物)が蓄積され、網膜の細胞が変性します。他に喫煙や高血圧、ストレス、各種ビタミンやミネラルの不足が挙げられます。特に喫煙は網膜の代謝を低下させ酸化ストレスを増加させるため、禁煙や受動喫煙を回避することは非常に重要です。
●正常な網膜と脈絡膜

●加齢黄斑変性の網膜と脈絡膜。
脈絡膜に発生した新生血管が網膜に伸びてくる。

症状
- ・視界の中心部分が見えにくい
- ・まっすぐな線が歪んで見える
- ・黒くて見えにくい場所がある
生活上の留意点
喫煙者は必ず禁煙しましょう(周囲からの受動喫煙も避けてください)。
長時間屋外に出る時は帽子やサングラスで直射日光を防ぎましょう。
高血圧や高脂血症の方は適正値にコントロールしましょう。
抗酸化ビタミン(ビタミンA、C、E)、抗酸化ミネラル(亜鉛)、ルテインやゼアキサンチンのサプリメントが推奨されています(当院受付で販売しています)。
緑黄色野菜(ブロッコリー、ほうれん草、ニンジン、パプリカ、ケールなど)や青魚の摂取が推奨されています。
治療
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①硝子体注射
新生血管を抑制する薬を眼球内に注射で投与する方法です。短時間で行うことが可能で治療効果も早期に現れるため、多くの加齢黄斑変性で第一選択となります。年間に3~6回の注射を必要とする、注射のコストが高い、効果が出にくいケースが少数あるといった留意点はありますが、現状で最も広く行われている治療です。
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②光線力学療法
ビスダインという光感受性物質を点滴し、特定波長のレーザーを照射して新生血管を閉塞させる治療です。治療後48時間は日光に当たることが出来ず入院が必要な場合もあるため、硝子体注射が効きにくい方に行います。
サプリメント
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①アスタリールACT2
成分 アスタキサンチン、ビタミンE、ビタミンC
価格 6,800円(税込)
体内では常に酸化ストレスにより細胞が傷害を受けて老化していきますが、アスタキサンチンは天然成分の色素(カロテノイド)の一種で、優れた抗酸化作用を持っています。
アスタキサンチン含有量(16mg)が多く、医療機関でのみ取り扱うサプリメントになります。 -
②オプティバリア
成分 ルテイン、ゼアキサンチン、ビルベリー、アスタキサンチン、ビタミンC、ビタミンB2、ビタミンE、亜鉛
価格 2,800円(税込)
網膜や眼精疲労に関連する色素群にビタミン、ミネラルを加えてバランスよく配合しています。
ルテインは水晶体や黄斑に存在し、加齢黄斑変性の進行リスクに関連していることが分かっています。
特に黄斑変性を発症している方、あるいはその前段階の方に摂取が推奨されています。
糖尿病網膜症
糖尿病で高血糖が続くと血管の内側が障害を受け、血液が詰まったり漏れたりするようになります。この変化が網膜で起こると、糖尿病網膜症を発症します。

3つの段階
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①単純網膜症
小さな出血、タンパク質が固まった硬性白斑が出てくるが、視力には影響が出ていない時期です。血糖値をコントロールすることで、網膜症も改善します。
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②増殖前網膜症
血管の閉塞が進み、出血や軟性白斑が増えてきます。黄斑浮腫(網膜に水がたまった状態)が出ることもあり、この時期になるとレーザー網膜光凝固が必要になります。
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③増殖網膜症
新生血管(容易に破れる血管)が発生し、そこから多量の出血、網膜剥離、新生血管緑内障と重篤な合併症が現れます。早急にレーザー網膜光凝固を行い、場合によっては硝子体手術を必要とすることもあります。
治療
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①レーザー網膜光凝固
糖尿病では全身の太い血管より、網膜にあるような細い血管に閉塞が発生しやすくなります。血管が閉塞した状態を「虚血(きょけつ)」といいますが、レーザー光凝固は細胞が必要とする血液量を減らし、虚血を改善させる効果があります。
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②硝子体注射
主に黄斑部に現れた浮腫(網膜内に水が溜まって腫れた状態)に対して、眼球内に薬を注射する方法です。効果が早期に期待できますが、3か月程度で効きが落ちてくるため何度か注射を行います。
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③手術
増殖網膜症で硝子体出血や網膜剥離を来たした場合には硝子体手術、新生血管緑内障を来たした場合には緑内障手術が必要になります。
ドライアイ
涙の量が少なくて目の表面がすぐに乾燥する場合と、涙は出ていても質的な問題で乾燥感が出る場合があります。ドライアイは非常に多彩な症状を引き起こします。

主な原因
- 加齢、体質 …涙の量や質が低下しやすい方。
- まばたきが少ない …集中してパソコンや運転をするとまばたきが少なくなります。
- ストレス …ストレスがかかると涙の分泌が少なくなります。
- 生活環境 …エアコンの風、乾燥した空気はドライアイの悪化要因です。
- 全身疾患 …シェーグレン症候群、リウマチなどにドライアイが合併します。
治療
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①点眼
人工涙液の点眼、ヒアルロン酸の点眼、目の表面の粘膜を保護するドライアイ専用点眼を組み合わせて行います。
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②涙点プラグ
涙点に栓をして涙の流出を防ぎ、涙の量を増やす治療です。
点眼では入れた後30分程度で効果が落ちてきますが、涙点プラグは持続的に効き目が出るため、点眼では不十分な方にお勧めです。入れる際も痛みはなく、また不要になったらいつでも取り除くことが出来ます。
小児(学童)近視治療
近年は生活環境の変化が原因で近視人口が増加しています。 近視の多くは学童期(6歳~12歳)に始まるため、この時期に進行を抑えることが重要です。
近視のしくみ
近視が進むときには眼軸長(眼球の奥行き)が大きくなりますが、子どもが成長していくと眼軸も必ず大きくなります。眼軸以外にも角膜屈折力、瞳孔径、調節力など近視に影響する因子はありますが、基本的に成長すると近視も進んでいくのは必然的なことです。
眼軸が過剰に大きくなると近視も進み、病的近視と呼ばれるような強度の近視になることがあります。伸びてしまった眼軸を短くすることはできないため、眼軸長が原因の近視を元に戻すことはできません。
治療
巷には視力回復を謳う民間療法が多数見られます。遠近を見させる望遠訓練、超音波治療、アイマスクなどが行われるようですが、高額な機器を購入させられる場合もあり、やはり眼軸長が原因の近視には効果がありません。
眼軸長は伸びないように予防するしかないのです。
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①低濃度アトロピン点眼(マイオピン点眼)
アトロピン点眼には以前から近視の進行抑制効果があることが知られていましたが、目の調節力を強力に抑制して瞳孔が拡大してしまうため、通常の治療に用いるのは困難でした。このアトロピンを100分の1濃度にすると副作用が非常に少なく、かつ60~70%程度の近視進行抑制効果が得られたことから、マイオピン点眼が登場しました。
日本では承認が取れていないため自由診療による処方となりますが、1日1回就寝前の点眼で続けやすく臨床データも揃ってきたため、現実的には最も有望な学童の近視進行予防法と考えられます。
マイオピン点眼もすでに存在している眼軸長が原因の近視を治す効果はありません。今後の進行抑制を期待するものです。
対象
6歳~12歳までの軽度~中等度近視(視力0.7以下、度数-1D~-6Dが目安)
近視が現れたらなるべく早期から点眼を開始するのが効果的です。
費用
マイオピン点眼は自由診療となります。
点眼薬1本で約1か月使用でき、初年度は1~2か月ごと、2年目は3か月ごとの診察検査を行います。
診察、検査(視力、眼圧、近視度数、眼軸長) 1,000円(税別)
マイオピン点眼薬(1本) 2,500円(税別)
2年間は継続治療を行い、3年目以降は近視度数の変化を半年ごとに検査していきます。
飛蚊症治療
硝子体の中に細かい混濁が出てくると、黒い粒や半透明のアメーバのような模様が見えるようになります。視界の中央に出てくると邪魔になりますが、視力を落とすものは稀です。
時間がたっても消えないものは硝子体手術により除去することができますが、原因により診療の取り扱いが異なります。
前膜や硝子体出血を伴っている場合 保険診療
硝子体混濁以外の眼底疾患がない場合 自由診療
いずれも白内障がある場合は同時手術が望ましく、保険診療の場合は単焦点眼内レンズ、自由診療の場合は単焦点眼内レンズあるいは高精度多焦点眼内レンズのいずれかを選択します。